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〜 漢方薬剤師一寸話 〜

漢方薬剤師一寸話 第5話 低血糖症

2019年7月19日漢方薬剤師一寸話

※燈輝新聞 第5号(2018年11月)掲載分です。

※写真はイメージです。

皆様こんにちは。九月に入りますと台風や前線停滞でよく雨が降るようになってきました。何もかもがしっとりと湿り気を持っていてからっとしません。漢方ではよく日本人の体と中国人の体の違いが言われます。同じ症状でも使用する薬方が異なることも多々あります。例えば、生薬の中にも潤す作用のあるものと乾燥させる物とがありますが、日本人は風土によりもともと体内に湿が多いので潤す生薬を飲むと体調を崩すことが多く、乾燥させる生薬を飲むと体調が良くなると言われています。反対に中国は大陸的風土で乾燥しており潤す生薬で体調が良くなると言われています。

また、最近の日本人は胃腸が非常に弱くなっていると言われています、私もお客様と話をしていてそのように感じます。これは今の食と大いに関係があると思っています。これについてはまたの機会に述べたく思います。

さて、シャウスが「栄養と犯罪行動」の中で真っ先に取り上げたのが低血糖症と反社会的行動でした。

この問題は現在日本でも取り上げられており大沢博著「食原性低血糖症」「子供も大人もなぜキレる」などの書籍で詳しく書かれています。

低血糖症とはどのようなことか簡単に紹介いたします。

糖分が過剰に体内に取り入れられると膵臓のインスリン分泌機能が極端に刺激されて必要以上のインスリンが放出されます。人体のすべての機能が正常に働いている時は副腎がインスリンの分泌をコントロールしてホルモンのバランスが保てるような仕組みになっています。ところが砂糖はブドウ糖に急速に変化するので血液中のブドウ糖値すなわち血糖値が急激に高められます。すると副腎皮質から糖処理に関係するホルモンが分泌され、その結果膵臓からインスリンが過剰に分泌されます。すると血糖値が急激に下がり低血糖の状態になります。ちなみに正常な血糖値は空腹時の血液1㎗中に100㎎とされていますからこれよりまだ数値が下がり70㎎を割ったりしますと震えがきたり違和感を生じると言われています。40㎎以下になると意識混濁という状態に陥ってしまいます。脳は酸素に敏感と言われていますが、糖に対しても敏感でひどい低血糖の状態が8時間続くと脳細胞は機能を停止し植物人間の状態になってしまいます。

私が病院勤務時代のことですが健常人に誤って血糖降下剤が渡ってしまいその薬を飲んだ人が急激な低血糖症をおこしてしまい、結果意識が戻ってこない植物人間になってしまったという話がありました。

また、糖尿病の人がインスリンなどで低血糖を起こしてしまいフラフラしてきたときにはすぐにあめをなめて血糖値を上げるというのはよく聞く話です。

では、飲料水やアイスクリーム、チョコレートなどを日常的に口にしているとどうなるでしょうか?

血液中では血糖値の急激な上がり下がりが起こっているのではないでしょうか。また砂糖は体内のカルシウムをくっつけて出て行くともいわれています。その結果、落ち着かない、イライラする、すぐにキレる物事を判断する能力が低下するなどの変化が表れてくると言われています。

子供の多動症や勉強しないという話は日常的によく耳にすることですが、もう一度毎日の食事内容を見直すことで改善されるかもしれませんね。それと砂糖は体温を下げるともいわれています。よく足や腰が冷えて困るとか、子供さんがよく咳をするとか鼻水を流すそのような相談があった場合には私はまず食生活を聞きます。大抵の家庭では飲料水やお菓子類の食べ過ぎが多いですね。まずはそれらから見直して頂きたいものです。その上で漢方薬を飲んでいただくと結果は良好です。

「一言メモ」その3
陰陽五行とは。陰陽と五行説をうまく組み合わせたものと考えられます。五行とは、昔の中国での自然観を現したもので、木、火、土、金、水の五つの要素の循環をうまくとらえています。

考え方は簡単で木は火を生じ燃え尽きると土を生じ土の中から金を生じ金の表面には水滴がつくとまぁこんな簡単なものなんですが、これを基本にいろいろな方面に考え方が広がっていきます。私がこれを知ったのははるか昔に寺の住職さんに九星学を学んだ時でした。九星学は方位学なんですが住職さんは人の死に関わっていますので教授内容にも独特のものがあり、今でも鮮明に残っています。低血糖症については大沢博著「子供も大人もなぜキレる」を参考にしました。

 

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