国指定重要文化財
村井家住宅保存会

代表挨拶

元禄の時代を生き抜いた証を未来へ

代表挨拶

時代の流れで消え行く文化遺産への想い

2018年4月に江戸時代後期の甦った家屋を見つめながら、この317年間の様々な自然災害や人的災害等から免れ、「よくぞ今日まで現存している。」と感慨深い思いがこみ上げてくると同時に、各時代を生き長らえて、守ってこられたご先祖さまの思いがひしひし伝わってきます。

祖父が、「この家を守っていくには、国の保護の下、重要文化財の指定を受けた方がいい。」と言い残して他界しました。何も分からないながらに、祖父の言い残した言葉を頼りに、母と私は国の保護を受けるべく文化庁の職員の方に相談。それからは、家屋を重要文化財として保護していくために、職人さんの確保や資材である萱(かや)の調達等に紛争しました。それから今の時代、重要文化財所有者にとって維持していくには財政面においても厳しく、私たち家族だけでは、祖父の思いを継承していくことは容易ではありませんでした。

しかし、決意をして行動を始めたことによって、不思議なことに多くの人とのご縁をいただき、一つひとつの問題を解決していくことができました。

ある方が、『古民家では数が多い焚き口が7つのおくどさん(竈  かまど)や開放的な家の様子から、江戸時代に民に食を振舞い、活気あるものを感じる。』とご覧になられてお話下さいました。

この家で生まれ育った私にとって、特別な思いで育った記憶もなく、とても不便ではありますが、ごく自然に生活をしてきました。

ある方の言葉をきっかけに、これからは、この家屋は、祖父の思いを継承するだけではなく、長い歴史の中で生まれ、育まれ、今日の世代に守り伝えられてきた国民的な財産として、また、将来の文化の向上発展の基礎となることから、多くの皆さまにご覧になって頂くことを決意しました。

これを機に、多くの皆さまに足を運んで頂き、その時代のたたずまいや空気感を肌で感じて頂くことこそが、今生きる母と私の使命であると考えております。また、ご見学の際には、世に残すことの大切さと大変さをご理解頂ければ私どもにとりましても救われる思いです。

村井家からの感謝の言葉

この度は、村井家の修復にあたり、多くの方々のお力によって、元禄の時代を実感させて頂く事が出来ました。修復中は、幼少の頃の記憶が次々に想い出され、感無量のひとときを実感させて頂きました。ひとえに関係各位のお陰と存じます。只々、感謝の一言につきます。今後はこの貴重な歴史の財産を後世の為に守り続けたいと思う次第です。