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〜 漢方薬剤師一寸話 〜

漢方薬剤師一寸話 第2話 マクガバン報告

2019年6月28日漢方薬剤師一寸話

※燈輝新聞 第2号(2018年8月)掲載分です。

※写真はイメージです。

 

初回号で「マクガバン報告」のことを取り上げましたが、なにせ世界中から約5,000名という科学者を集めての報告書ですからその資料も莫大なものです。その前に私がそれにたどり着いたいきさつをお話しします。偶然にそれに出会ったわけではありません。それまでにも食と病気へのつながりを研究していました。ではなぜ食の重要性を考えるようになってきたのか、少しお話します。

私は長年神戸の市民病院に勤めていました。在職20年も過ぎますといろいろなことがわかるようになってきます。実務を離れて「お薬相談室」へ出向することも多くなりました。本当に様々な相談を持ち込んでこられます。入院患者数約1,000名、外来患者数1日約1,000名の病院ですから相談に来られる数も半端ではありません。相談?いえいえほとんどすべてが苦情です。その中でも薬の苦情について言いますと、圧倒的に副作用の苦情です。特に精神安定剤と睡眠導入剤です。これについてはまた機会があればお話ししたく思います。

さてある時青年が入ってきました。一見してアトピー性皮膚炎と分かります。もう五年になりますがこの先どうしたらよいのかという質問でした。私はこの時化学薬品の限界を感じました。何とかできんものか、これが私が漢方へ目覚めるきっかけになりました。

中医薬学を学んでいくにつれて今まで病院で培ってきた現代の医薬学の概念が大きく変わり、別の角度から見ることができるようになってきました。それらを学んでいくにつれて食の重要性も知ることになりました。

現代食のように旨ければ良い、おなかが一杯になるのならインスタントラーメンでも菓子パンでもよいそのような風潮ですが、しかし、本来食というのは血や肉を造っていくものです。選択を間違えれば病気にもなるでしょう。

まあ、そんなことから食が人体に及ぼす影響の大きさに気付き今までの概念が大きく変わっていきました。病院では食材の持つカロリー計算と塩分と血圧の関係、糖分と血糖値の関係その程度ですが、漢方では食材それぞれの持つ身体にそして精神にも影響を与える特質などを学ぶことになりました。ここで医食同源の意味するところが徐々に分かって来るようになってきました。

さらに研究を進めていきますと、肉体だけではなしに精神構造にも影響を及ぼすことがわかってきました。これは私にとっては非常に驚きでした。

私がまず研究に入ったのは食と精神構造との関係からでした。外国での話ですが過去に食事と精神構造についての実験を行った記録があります、ではどんな実験をしたのか、次回はその話をご紹介したいと思います。

 

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