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〜 漢方薬剤師一寸話 〜

漢方薬剤師一寸話 第4話 食と行動②

2019年7月10日漢方薬剤師一寸話

※燈輝新聞 第4号(2018年10月)掲載分です。

※写真はイメージです。

皆様こんにちは。この前の号ではシャウスの「栄養と犯罪行動」のことを紹介させて頂きました。

これらの調査がなされた時と同じ頃にある実験が行われました。簡単に紹介させて頂きます。アメリカのある刑務所内で行われたことですが、大きく二つのグループに分けられた1群には栄養を吟味した本来の食事を与え、かたやもう1群にはジャンクフード(がらくた食品)のみを一定期間与えそれぞれの言動を観察した記録がありました。

本来の食事の群は、お互いの話す言葉も普通で、仲間内でケンカしあったり、ののしり合うこともほとんどなかった。しかしジャンクフードの1群はちょっとしたことでケンカが始まったり、罵声を浴びせたりということが多く、明らかに言動の差があったと記録されていました。また、日本でのことですが、中高生を対象に朝食について調査したことが報じられていました。朝食をパンとコーヒーや牛乳で済ませる者と、ご飯、みそ汁で済ませる者との差が出ていました。授業中の落ち着き、試験の結果、運動力の差など、明らかに差が出ているという報告でした。

今現在日本の食事内容はまさしくアメリカの後を追っているように思えます。いや、それ以上にひどいのかもしれません。前号の⑮については日本で許可されている食品添加物はすでに5,000種を超えていると言われています。私たちが好むと好まざるとにかかわらず食品にはどんどん入って来ています。

私の店舗のある加古川は日本でも5本の指に入ると言われているほどにスーパーマーケットが乱立しています。大手のドラッグストアもホームセンターも乱立しています。私はあちこちのスーパーマーケットを見て歩くのが楽しみです。店によって商品の特徴はあるのですが、消費者の好みが大きく出てきます。

で総体的に思うことは、消費者に考える余地を与えないということが言えると思います。どういうことかといいますと、昔はお母さんが買い物かごを下げて市場に行って今日はどんな内容にしようか、家族の好みや栄養を考えて行ったり来たりしながら食材を買っていった。しかし現在はどうか、レンジでチンすればはい出来上がり。味もこってりとついてますよ、ビタミン、ミネラルもいっぱい入ってますよ。てなことでそれに拍車をかけているのが世の中の目まぐるしさです。女性も働きに出るようになってきた。

帰ってからゆっくりと食事なんて考えているような余裕はない、手っ取り早く冷凍食品をチンしようという具合に大きく変化してきた。食品メーカーもこれでもかと次々に開発してくる。

私の母がぼろぼろになった料理の本を見ながら夕食を作っていたのを思い出す。

前述のように加古川はスーパーが乱立しており、その間をコンビニが乱立しており、その間を埋めるように自動販売機がある。ある日曜の朝3時ごろにスーパーに行ってみた。客は結構来ている、その中に親子連れもいる、小学校低学年の子供の手にコーラが一本ある。500mlの容量である。かって私が勤めていた病院の臨床病理部がポカリ200ml缶とコーラ350ml缶の糖分を調べたことがある。ポカリは角砂糖にして7個分、コーラは35個分という結果が出た。500mlのコーラなら比例すると50個分になる。

これを一本飲むと血糖値が跳ね上がるそしてその後は低血糖を起こす。シャウスの①砂糖の取りすぎが思い浮かびます。これについては日本でもよく研究されており特に大沢博先生の著作の中にこれについて書かれたものが多くあります。次回はこれらの問題について検討していきたいと思います。

 

陰陽:これはある書物には中国思想の基本となる考え方の一つとあり、また宇宙を含めた大自然の中のすべての事象を陰と陽という相対するものとして分けるという考え方です。また後で紹介させていただく五行説とも重なって日本の生活習慣にも深く溶け込んでいる考え方です。
ざっと身の回りを見渡しても対照的なものがあるのに気づきます。太陽と月、昼と夜、男と女、天と地、表と裏、というように、また人体では、寒と熱、下半身と上半身、腹と背、裏と表、五臓と五腑、肺と心、という具合に全てが対象になります。次回は五行説と合わせて考えてみたいと思います。

 

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